コラム
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高齢の方の生活を支えていると、「寒くないはずの室内でも手足が冷たい」「夜に体が冷えて眠れない」といったお悩みを耳にすることが多いのではないでしょうか。高齢者は筋肉量や血流、自律神経の働きが低下しやすいため、若い世代に比べて冷えを強く感じやすくなります。
特に、北海道ではこれから寒さが一段と厳しくなるため、冷えによるリスクがより高まりやすく注意が必要です。冷えは不快感だけでなく、睡眠障害や免疫力の低下、転倒リスクの増加といった生活全般に影響を及ぼすことがあるため、日常的なケアがとても重要です。
この記事では、なぜ高齢者が冷えを感じやすいのかを整理しながら、ご家族やケアマネージャーの方が日常生活で取り入れやすい冷え対策のヒントをご紹介します。身近な工夫で少しでも快適に過ごしていただけるよう、ぜひ参考にしてみてください。
体は筋肉を動かすことで熱を生み出していますが、高齢になると筋肉量が減り、基礎代謝が低下します。特に太ももやお尻など大きな筋肉の衰えは、体を芯から温めにくくする要因になります。
そのため、ご本人が「寒い」と感じるのは、周囲から見て室温が十分に保たれている場合でも珍しくありません。
加齢や持病の影響により血流が滞りやすくなり、熱が手足の先まで行き届きにくくなります。さらに、自律神経の働きが弱まると体温調整もうまくいかず、気温の変化に順応しにくくなります。結果として「足先だけ冷たい」「夜中に冷えて目が覚める」といった訴えにつながりやすくなります。
薄着のまま過ごしていたり、食事量や栄養が不足していたり、暖房の効きにくい部屋で長時間じっとしているなど、生活環境も冷えを強めます。特に冬場は、床の冷たさや換気の影響を受けやすいため注意が必要です。
また、利尿薬などのお薬の影響や水分摂取の不足も冷えを助長する場合があります。生活環境を整えることで、冷えの改善につながることも少なくありません。
体が十分に温まらないまま就寝すると、寝つきに時間がかかったり、明け方に目が覚めやすくなったりすることがあります。
深い眠りが途切れがちになると、翌日の活動量が落ち、さらに体が冷えやすい状態へと傾きやすくなります。長く続く冷えは、からだ全体の巡りを低下させ、風邪などの感染症にかかりやすい時期には影響が出やすくなる点も懸念されます。
就寝前の体の温め方(入浴の時間帯や室温・寝具の保温など)を整えることで、眠りの質の底上げにつながることが期待できます。
足先の冷えが強いと、感覚が鈍くなり、踏み込みの際に、力が入りにくく感じられることがあります。関節や筋肉のこわばりも重なると、立ち上がりや方向転換に時間がかかり、ちょっとした段差や床でつまずきやすくなります。
冬場や夜間のトイレ移動などは特に注意が必要です。室温差を小さくする、足元を温かく保つ、足指をゆっくり動かしてから立ち上がるといった小さな工夫が、転倒やけがのリスク回避につながります。
冷えは血圧変動を招きやすく、循環器系のご病気をお持ちの方では体調の揺らぎが大きくなる場面があります。
関節や腰の痛みを抱えている方では、こわばりにより痛みを強く感じやすくなることもあります。糖尿病などで足の感覚が低下している場合は、冷えによる皮膚トラブルや小さな傷の発見が遅れやすくなる点にも配慮が必要です。
体調に合わせて無理のない保温や水分・栄養のとり方を整え、気になる変化が続く際には、かかりつけ医へ早めに相談できる体制を意識しておくと安心です。

体温は首・手首・足首から逃げやすいため、ここをやさしく温めていただくと全身の楽さにつながります。
室内では薄手を重ねる「レイヤー」を基本に、肌側は吸湿発熱系や起毛素材、外側は風を通しにくい素材を合わせると調整がしやすくなります。
就寝時は靴下を二重にするよりも、足首を包むレッグウォーマーのほうが血行を妨げにくく安心です。日中は体を締めつけない下着やウエストゴムを選ぶと、長時間でも負担が少なく過ごせます。
室温に合わせて一枚ずつ足したり外したりできるよう、同じ種類の薄手を複数枚そろえておくと介助の場面でも扱いやすくなります。
からだを内側から温めるには、温かい主食・汁物・たんぱく質を基本に、無理のない範囲でバランスを整えていただくことが大切です。
朝は温かい味噌汁やスープを一杯添えるだけでも、その後の体の動きが楽になることがあります。生姜、ねぎ、根菜、きのこ類は温かい調理と相性がよく、魚・卵・大豆製品などのたんぱく質と組み合わせると代謝の維持にも役立ちます。
水分は冷たいものに偏らないよう、白湯や番茶などの温かい飲み物をこまめに。食が細い方には、具だくさんの汁物や温かい甘酒・ココアなどを間食として少量ずつ取り入れる方法も実用的です。
持病や治療中の食事制限がある場合は、かかりつけ医や管理栄養士の指示を優先してください。
入浴は体の深部をじんわり温め、睡眠の質を整える助けになります。
目安としては、ぬるめのお湯(40℃前後)に10〜15分ほど、肩まで無理なく浸かれる日と半身浴にとどめる日を体調に合わせて使い分けていただくと安全です。浴室・脱衣所の温度差を小さくするため、入浴前に暖房器具で空間を温める、浴槽ふたを少し開けて湯気で浴室を暖めておく、といった一手間が転倒予防にもつながります。
全身浴が難しい日は、洗面器やバケツで足首より少し上までの足湯を10分前後。上がった後に水分を補い、湯冷めしないうちに衣類を重ねる、就寝前ならそのまま休める準備を整えると効果が持続しやすくなります。
大きな運動が難しい場合でも、こまめに筋肉を動かすことで巡りが良くなり、冷えにくい体づくりに近づきます。
椅子に座ったままのかかとの上げ下げ、足指をゆっくり握って開く動き、両肩をすくめて下ろす動き、手首・足首を回す動きなどは、介助の合間にも取り入れやすい内容です。呼吸に合わせてゆっくり行い、痛みや息苦しさが出ない範囲で回数を調整してください。可能であれば、日中に短時間の散歩を取り入れると、体温のリズムが整いやすくなります。
転倒の心配がある方には、住環境の整備(滑りにくい履物、段差の解消、手すりの活用)や家族や介護者による見守りの工夫を合わせて進めていただくと安心です。
冷えを防ごうとして衣類を重ねすぎると、動きにくさや発汗につながり、かえって体調を崩してしまうことがあります。厚着によって体の水分が失われると、脱水や血液の循環不良を招きやすくなるため注意が必要です。
衣服は「体を締めつけない」「調整しやすい」を基準に選び、室温や活動量に応じてこまめに脱ぎ着ができるようにしておくことが大切です。水分補給も冷たい飲み物に限らず、白湯や温かいお茶を取り入れて、意識的に続けていただくと安心です。
冬場の入浴では、浴室と脱衣所の温度差が大きいほど血圧が急に上下し、ヒートショックにつながる危険があります。入浴前に脱衣所や浴室をあらかじめ暖めておく、熱すぎるお湯を避ける、急に肩まで浸からず少しずつ体を慣らすなど、小さな工夫が大切です。
また、入浴の前後には水分をとり、立ちくらみやふらつきを予防するよう心がけていただくとより安全です。ご家族がそばで声をかける、必要に応じて入浴時間を見守るなども有効なサポートになります。
日常の冷えは工夫で改善できることが多い一方で、異常に強い冷えや左右差のある冷え、しびれや痛みを伴う場合には注意が必要です。
末梢の血管や神経の病気、糖尿病による合併症などが隠れている可能性もあるため、気になる症状が続くときには早めに医師にご相談ください。
早い段階での受診が大きな安心につながり、適切な治療や生活の工夫につなげることができます。

冷えは「年齢だから仕方ない」と片づけられがちですが、衣類の重ね方や室温、食事・水分、入浴、軽い運動といった日々の工夫を積み重ねることで、眠りや体のこわばりが和らぎ、外出や家事のしやすさにもつながります。
無理のない範囲で続けていただくことが何より大切です。体調が変わりやすい時期は、いつ・どの対策が有効だったかを簡単に記録しておくと、ご本人に合った“効きやすい習慣”が見つけやすくなります。気になる症状(強い冷えやしびれ、痛み、夜間の頻繁な覚醒など)が続く場合は、早めに医療機関へ相談できる体制を意識しておくと安心です。
ご自宅でのケアを続ける中で、「時間や人手の都合で思うように支えきれない」「姿勢や体の使い方を専門職に見てほしい」と感じられることもあるかと思います。
皆んなの訪問リハビリマッサージでは、札幌・千歳・恵庭・小樽エリアのご自宅に伺って体の状態を確認しながら、無理のない保温・運動・日常動作の工夫を一緒に整えていくお手伝いをしています。
まずは現状のお困りごとをお聞かせください。ご本人とご家族、ケアマネージャーの皆さまと連携し、続けやすい形でのサポートをご提案いたします。
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